ヒナタノオト工芸帖

日本橋小舟町の工芸ギャラリー・ショップ「ヒナタノオト」の作品ノオト

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デンマークの扉

北欧の和み・デンマークの扉をあけて
が出版になって、一年が経ちました。

今でも時々感想をいただくことがあって、
それは何よりの喜びです。
写真のこと、文章のこと、いろいろ。
いただいた感想に背筋をすっと伸ばしてもらっています。
素直に、正直に、けれどありのまま、だけではなく
伝える力、創作の力をつけて、もっと高めていきたい、です。

かたちとなった本は、自分の力の足りなさはおくとしても、
昨年の自分のできる限りを尽くして書いたものなので、
心残り、といったものはないのですが、
実は一点だけ、自分の中で、これでよかったのだろうか、
そんな風に思うところがあるのです。
あとがき、です。

:::

先日、私がヒナタノオトに不在で、
針の森の狩野さんがお店をしてくれた日。
ひとりの若い女性が訪ねてくださったそうです。
デンマークの旅を終えてきましたと。

同じツアーに年配のご夫婦がいらして
親しく言葉を交わすようになったとのことでした。

そのご夫婦がデンマークに来たのは、
「北欧の和み」を読んだからとのこと。

骨髄移植を受けられたご主人と、
無事治ったら、デンマークに行こうねと
励まし合って来られたのだと、その女性が語ってくださったと。

:::

デンマークと弟の病は別のことで、
当初、そのことに触れる気持ちはまったくありませんでした。
けれど、何度も書き直し、かたちが整い、一冊の姿になった時、
なんで、デンマークなんだろう。
そう自分の心に問わずにはいられなかったのです。
デンマークっていいところだよ、
それで終わってもよかったのかもしれない。
爽やかで朗らかで和やかな国、ひとびと。
だから通ったということで、爽やかに閉じればよかったんだ。
そんな風にふと思い返すこともありました。

確かにデンマークに通うのは、心が楽しいから。
けれど、こんなに通う心の裏側には、
私の心にかつえたものがあったからですね、きっと。
求めていたもの、かつえていたもの。
それが、かけがえのない場所、であると気づいて、
私と同じようにそんな場所を、不器用に求めたまま逝った
弟のことに触れて筆を置いたのでした。

:::

今でもその文章が熟したものだったか、
正直自信はありません。
けれど、あの文章が、あるご夫婦の闘病にとって
ささやかでも支えになったのだとしたら、
ああ、書いてよかった、
心からそう思えました。

おふたりにとって、デンマークの扉、
和やかに開いたことを思いながら。

:::

「お話を聞きながら、涙が出て困った」
そんな風に伝えてくれる狩野さんのような人が
そばにいてくれること。
それもとても幸せなことですね。

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