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ヒナタノオト工芸帖

日本橋小舟町の工芸ギャラリー・ショップ「ヒナタノオト」の作品ノオト

梅漬けの合間に

注:ちょっと、まじめ?で長いです。

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今日はイナガキは終日ひとりでらふと
実はこんな日は珍しいのです。

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昨日収穫した鴨川の梅(ちょうど採り頃。早、黄熟していました)と
ガラス瓶と砂糖を持ち込んでのらふと入り。
洗って、拭いて、乾かして、ヘタを取って、夏のワークショップで
お出しする梅エキスのドリンクを作ろうと。。。

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とはいえ、ひとりですから、お客様の応対もちゃんといたしましょう。。
今日は、今年の工房からの風に出展する作家さんや、デンマーク絡みで訪ねてくださった方、
そしてお客様もいろいろいらしてくださいました。

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今日いらした工房からの風に出展する作家、、
それは陶芸をされる方なのですが、
打ち合わせ的な会話が終わって、雑談になってから、
いろいろ考えさせられること、共鳴することが多い会話となりました。

この方は、きっとこれから、たくさんの人の心に届くものを
作る人になる予感がする陶芸家ですが、
意外なことに、どんなところで発表すれば(取り扱ってもらえば)よいかが、
よくわからないと言うのです。
私が思うには、充分、陶芸の力があって、魅力ある作品づくりをされているのに。。。

でも、話すうちに、私がずっと心の底で思ってきたことと同じことを思っているんだ、
と気付きました。

その人は、「工芸」としてちゃんと見て、選んで、使ってもらいたい。
と思っているのですね、きっと。
でも、百貨店の美術画廊や、由緒正しい?陶芸好きの人が主に集まる
ギャラリーでの展開ばかりも望んでいない。
そして、今、多くなった工芸を含めた雑貨店では違うのだと。

私がホンマユミコとヒナタノオトをやろうと思ったのは、
まさにその「どちらでもない部分」。
人の手と技術と素材が作り手の感性と結びついて、今の暮らしに生きるもの。
それは、少し前だったら美術画廊や伝統工芸のギャラリーで展開していたものと
かぶることでしょう。
でも、いかにも工芸好きでコレクターさん的な方ばかりが来るような場所ではなくて、
暮らしと結びついた紹介をしていきたい。
居心地の良い、親しみやすい空間で行いたい。
その部分では、今のカフェや雑貨店と呼ばれるものと、
雰囲気は近いかもしれません。

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ヒナタノオトを開くとき、「雑貨」は置かないようにしよう。
と決めていました。
経済コントロールされた量産品(日本より貨幣価値の低い海外で作ったものも多いでしょう)と、
ひとりもしくは少人数で作られたものを一緒に置けば、
売れる主流がどうなっていくかは火を見るより明らかです。
「工芸」を店内に置いて雰囲気を高めて、お買物は「雑貨」をたくさん選んでいただく。
こうしてお店を成立させる気持ちがなかったからです。

よく、誰がどう作ったとか、プロダクトだろうが、骨董だろうが、
ものはものなのだから、オーナーの好きなものを垣根を払ってお店に置く。
というフレーズを聞きます。
それを批判をしているのではないのです。
理屈としてはとても納得するし、ある部分私もそう思います。
ものは工芸だからいいのではないのだから。

私たちが選んだ今のスタイルは、「工芸」を紹介する仕事をしたいから。
雑貨を置いたら、私たちの力でそれは叶えられなくなるだろう、と思ったから。
現在、書籍とティーハンデルさんの紅茶だけが、「工芸」ではないもの。
それがヒナタノオトの幅を狭めているかもしれないし、
それにしては、カジュアルすぎると思う方もいらっしゃるかもしれない。
それもまた、発展途上で力不足を痛感するのだけれど、
気持ちはそこに持っていたいのです。

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雑誌媒体でも、「どちらでもない部分」は少ないですね。
リュクスでアッパーな奥様系でもなく、ほのぼの暮らし系でもなく。
きっとどちらもまったく違うわけではなく、かぶる部分が多いのですが、
贅沢としての工芸でもなく、イメージだけの工芸でもなく。
そういう範疇のものがあったら、どうぞ、ぜひ教えてください。

雰囲気だけではなくて、素材や技術、そしてものづくりへの想いで
誠実に作られたもの。
そして、結果として雰囲気もよくって、かわいいや、すてきや、かっこいい!もの。
(だって、いくら誠実に作られたからって、人の心に響かないものは作り手の自己満足だもの)
そんなもの、たくさんではないけれど、たしかに「ある」から、
この仕事を続けていきたいのです。


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今日話した陶芸家さんが帰りしな、
「中本純也さんの陶器、いいですね~」
と、ポツリ、と言いました。
私、思わずうれしくなって「そうでしょう~」とおなかの底から(笑)
言いました。

大阪のsajiさんで出会って、その時は実はものすごくいいな、と思ったわけではないけれど、
気になったので、勉強にもなると思って購入したとのこと。
けれど、使うほどにこんなに良かったなんて!!と驚いたのですって。
まったく同感です。


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(私はこれと同型のものを、カフェオレボウルにしたりして楽しんでいます。)



純也さんの焼き締めは、店頭の状態ではその魅力が伝わりにくいのですね。
まずは、肌合い。
かさかさしていて、水分が染みそうな感じがするのでしょうか。
ところがよーく焼きしまっていますから、使えばじきにツヤツヤになっていくのです。
その状態で店頭に出せば、きっと心に響く方、多いに違いありません。

ヒナタノオトを開いてから、一番の悩み?は、
中本さんの陶器をきちんと伝えきれていないこと。
美術工芸画廊的なアプローチではなく、けれどイメージやスタイリングだけでもなく。
う~む。。むずかしい。。
でも、この難しさにこそ、大切な次への種がひそんでいるような気もします。

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そんなこんなを思いながら、安斎さんの陶器や古橋さんの家具と編み物をご案内し、
合間に梅シロップの漬け込みも完成!

ホンマユミコとウサ村さんにも会わないらふとでの一日は、
ゆうべに渡る鳥たちの声を遠くに暮れていったのでした。

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