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ヒナタノオト工芸帖

日本橋小舟町の工芸ギャラリー・ショップ「ヒナタノオト」の作品ノオト

手のあと

最近、作家(作り手)とお話しする時間が重なりました。
そのたびに、思いを新たにすること、確認すること、たくさん、あります。

会話の中から、絡まったものごとをすっきりさせて、やる気!を出してくださる作家もいます。
(もちろん、そうあってほしくてお話しするのですが)
けれども、私こそ、お話ししながら、考えや想いを進めさせてもらっているのだと思います。

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JUNIOさんが書きだしているコンセプトにこのようなフレーズがありました。

同一のデザインの中に異なる表情をもつ吹きガラスの手法を用いた
「使い手が見て、選び、楽しむ」をコンセプトに
この手法でなければ表現できないニュアンスを残しつつ
手作りの容姿が突出しない形の提案


昨日お会いしたイイホシさんのHPのconceptには

うつわがツールとなって、それぞれの人の記憶に思いが浮かんでくるような
作品を作りたいと常々思い制作しています
手づくりのものは作り手の手跡が残らないように
プロダクトのものは手づくりの良い部分を活かして味気のないものにならないように
「思いをもてる、手づくりとプロダクトの境界にあるもの」
これが私のつくりたい食器です


と。

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作り手の言葉をいいな、と思うのは、内側から生み出した言葉だから。
それこそ、まさに「哲学」なのですね。
哲学とは、知識を学ぶことではなく、必要なことをただ考えること、です、きっと。
作り手が作っていくうえで、考えずにはいられないところから生まれた言葉。
それだから、確かで光っている。


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上の太字で写させていただいたフレーズに、とても響くものがあります。
手で作るから必然に生まれるゆらぎや、カーブ。
そこにえもいわれぬ美しさを感じることがあります。
けれども、手で作ったからゆらいでいるでしょ、とか、こういうカーブになるでしょ、
といったものは似て非なるもの。
きっと必要のないゆらぎやカーブだから、使う上で必要のないもの。

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私が好きだな、ヒナタノオトで紹介していきたいな、と思うのは、
こういうものなんだと思いを新たにしています。
技術があればそれだけでいい、とは思わないけれど、
技術を高めようと思っていない作り手のものは健やかに思えない。

技術を高めることが目的ではなく、
想い描く「もの」を作るために、技術を尊重する。
そうして出来たものに、技術はうるさく映っていなくて、むしろそっけないほどだろう。

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こんな風な「哲学」でうまれたものは、いかにも手作りではないから、
いかにも手作りなものを求める方には、不足かもしれない。
ごめんなさい、そういうもの、ヒナタノオトにないです、きっと。

けれど、最近とくにうれしいのは、いかにも手で作りました、ではないけれど、
手ならではの、ほのほのと美しい仕事をピピッと察知して
まっさらな眼で「いいなぁ」と選んでくださる方が増えていると感じること。
使う方、選んでくださる方の感度の高さは、
作り手や私たちギャラリー・ショップの喜びでもあり、励みでもあって、
心地よい緊張感でもあるのです。

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「ちょっとそっけないから、加えておこうかな」
といって加えられた装飾は、それが理由で選ばれないことが多い。

でも、もちろん不必要な加飾はいりませんが、
かといって、なんでもシンプル、無地、余白の美、というのも、
時代にただ添っているだけの気がします。

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そっけないと思うのは、想定したお客様の想いなのか、作り手自らの実感なのか。
自信をもってそっけない(笑)ものを出せたら素晴らしいですね。

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一方、心映えのさわやかな加飾は、使う場でもさわやかな時を作りだしてくれます。
気持ちの良い文様やテクスチャーの加わった工芸のもの。
私、大好きなのです。

自信をもって(笑)加飾のあるものも、作ってくださいね。

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