ヒナタノオト工芸帖

日本橋小舟町の工芸ギャラリー・ショップ「ヒナタノオト」の作品ノオト

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

最終日を前に

針と糸でちくちくと。
宮本さんのがまぐちは、なんだろう、
がまぐち以外の何者でもない存在なのに、がまぐちを超えた何かだ。

こんなに細かく細かく縫いつないでいるのに、
どこまでも続く空や海、一面の原っぱや砂浜、
おおきなおおらかな、果てしない自然を感じてしまうのはなぜだろう。

つなぎながら、放たれる。

ちいさな欠片とかけらを接ぎながら、
ぐんぐんぐんと伸びていく。
それは、点と点とをつなぎながら展がっていく、
行き先の決まっていない旅のよう。

ミシンと針と糸を手にして、心を旅に遊ばせる。
布に関するものがたりは、がまぐちの宇宙で
繰り広げられる。
            (sanae inagaki )
:::

宮本さんの展覧会を前に、こんなラブレター?を彼女にファックスで送った。
宮本さんは、イマドキ珍しくメールを使わない。
なので、今回の展覧会用に書いてもらった5つのストーリーもすべて書き文字で届いた。
それが、まったくこのガマ口のように、継ぎ接ぎがいっぱいで、
宮本さんのパワーが満載で、一度ワードに打ち込まないと、客観的に読めなかったのだ。
(そんな体質になってしまったことが、少しかなしかったけれど)

少し整える提案をしたけれど、ほとんどそのままで宮本さんの文章を印刷した。
(あ、この印刷物は、店頭でお買い上げくださった方にお渡ししています。)
ちょっと手直ししたら、きっと読みやすくなるだろうな、というところも無くはなかったけれど、
勢い、のようなものがそがれてしまうと思った。
文章は人を表す、場合もある。
そういう文章には、真実を感じるから、そのままいただいた。

(ちなみに、その作業の最中、自分の本の最終、ほんとの最終校正をしていて、
自分のクセのような文章を直すかそのまま行くかを迷っていた。
自分の意思で、かなりフラットにした部分もあるし、それでも残そうと思った箇所もある。
そんな行程の只中だったので、宮本さんの個性たっぷりな文章は、
かなり手を入れたくなる誘惑に駆られたのだ。)

:::

パッチワーク、と言われるものを、実は私はあまりよくわからない。
余り布や端切れをつなぎ合わせて一枚の布にすることと、
一枚の布にするために、わざわざ切り刻んでまた縫い合わせることは違うと思う。
宮本さんの仕事がただ後者のようであれば、きっと関心は向かなかったかもしれない。

誤解を生みそうだけれど、わからない部分があったから、
展覧会をしてもらおうとお願いをした部分もある。
どうして、これほどまでにのめりこんでできるのだろう。
そのエネルギーを裏打ちしているものって、何だろうと。

その答えの端っこが、冒頭の文章となった。
知らなかったけれど、このファックスを送った日、
宮本さんのお誕生日だったのだという。
うれしいバースデープレゼントだったんですよー!(注:大阪アクセント)
と、後日宮本さんが教えてくれた。
こちらこそ、アリガトウ!!

:::

古今東西、さまざまな国の布が集まって、宮本さんの手で、ミシンで縫い綴られて、
新しい布になっていく。
その出自をすべて語る宮本さんだけれど、
ほんとうはもっとディープに聞いてみたい気もする。
お話が大好きでサービス精神が旺盛な宮本さんだから、
けっこうざっくりとドコドコのナニナニの布、と言い切っていて、
聞いていてちょっとハラハラしたりしなかったり。
けれど、その繰り返しの中で、きっとまたこの作者は旅を重ねていくのだろうなぁ、
と豊かな気持ちが湧いても来る。

何人もの方から(そして私たちもほんとに思う)その手の細やかさや
かかる時間を思うと、安いですよね!と言われるこのガマ口たち。。
ちょこっと宮本さんにそう言えば、
「たくさん選んでもらったら、また、たくさん作れてうれしいから」
と。
こうやってものつくりを続けている作り手がいるのですね、喜びをもって。

:::

まだまだ未知の余白がある宮本さんのガマ口の世界。
その余白があるから、これからも見せてほしいな、と思います。
宮本さんの「旅」。
2008年秋のヒナタノオトでの宮本さんの旅は、15日で終了。

PageTop
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。