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ヒナタノオト工芸帖

日本橋小舟町の工芸ギャラリー・ショップ「ヒナタノオト」の作品ノオト

宮本さんが選んだ5冊から

ぼろの美 額田晃(清文社)
「思わぬ布がいきなり隣や上にやってくると、
この布は迷惑だったろう、とりあえず仲良くしよう、
糸のせいだとぼやきつつ」 本文より

前に飛騨高山の骨董屋さんで、藍染の古い布を刺し子で上部にした未使用のぞうきんを五百円で買いました。
よく見せようと思っていない針目の自由さは、今も私の心を楽しませてくれます。
東大阪在住の画家である額田さんが、そんなとらわれのない布を集めて作られたいい本です。


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からくりからくさ 梨木香歩(新潮社)
「草や木や虫や蝶のレベルから、人と人、国と国のレベルまで、
それから意識の深いところも、浅いところも。
連続している唐草のように。一枚の織物のように。」 本文より

4人の女性が染めや織り、布に関係しながら、
りかさんという人形と暮らすところから始まります。
いつも梨木さんの本を読むと、なぜかケルトの模様が浮かぶのです。
なので、アイルランドに行ったことのある友人に、「唐草の布ない?」と聞くと、
なぜか唐草っぽくてきれいからという理由で下鴨神社の手ぬぐいをもらい、
なんとなく、それもパッチワークに入れています。


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森の暮らし、たいまぐら便り 安部千穂 ( アノニマ・スタジオ)
「日々の暮らしの中から宝物を見つける楽しさと、
たとえその輝きが自分にしか見えないものであっても、
それを大事にしつづけることの大切さを改めて教えてもらいました。」

智穂さんは岩手のタイマグラという場所で、野の草の染をされています。
お話していると、智穂さんの明るい笑顔や声を通して、
山の自然がもつ力をそのまま受け取っている気持ちになります。
そしてその訳がこの本の絵本のような文章の中にぎっしりと詰まっています。
今回は特別にタイマグラのおばあちゃんが紡いだ麻に、
智穂さんが藍染をしてくださった布を使わせていただきました。
 注目です!

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草の輝き 佐伯一麦 (集英社)
「と、お茶を飲みながら師匠が言った。
そしてこれは私の口癖、と前置きしてから、
『草木染めの色は退色するのではありません。
色は移ろうものです』とゆっくり諭した。」 本文より

会社を辞めて東北で草木染の修行を始める女性のお話。
草木のこと、日常のことが、たんたんと書かれています。
私も密かに心で「布の師匠」がふたりいます。
布にまつわる話とともに、いつも大事なものを受け取る気がします。
ガマ口に使用した布は、その師匠がずい分前に購入したもので、
棉や絹で織られていて、誰がどんな気持ちで織ったのか想像しあったのを、覚えています。


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アイヌの衣裳 岡村吉右衛門 京都書院美術双書
「刺繍には文字では伝わらない心の世界が広がっているんだよ」
どこかで読んだアイヌの人の言葉

初めて民芸館でアイヌの衣裳を見たとき、
しばらく立ち尽くして心の中が波うつような気持ちになりました。
紋様が好きだからとか、形が美しいからとかではなく
根源的な力のかたまりのようなものに打たれたのかなとも思います。
日本の染織シリーズの中で一番好きな本です。

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