FC2ブログ

ヒナタノオト工芸帖

日本橋小舟町の工芸ギャラリー・ショップ「ヒナタノオト」の作品ノオト

わが家で一番使っている器

丹波篠山に行ってきました。
榎本稔さんの陶房。
榎本さんには毎年お会いしていますが、篠山へは2年ぶりでしょうか。
4回目の訪問となりました。


「手しごとを結ぶ庭」を書く時、私がどんな工芸品をまん中に思っているか、
慎重に心の中を覗いてみました。
好きなもの、、は実は幅広いのですね。
根っから「もの」が好きなので、気持ちを放っておくと、
あれもこれもと惹かれるものが多いのです。


具体的に作家の作品について書くとき、
まず、榎本さんのことを書こうと思いました。
それは、わが家で一番使うことの多い器、
その作り手だからかもしれません。


本にも記しましたが、榎本さんとはひょんな偶然から出会いました。
藍染を見に行った徳島。そこで偶々通りかかったギャラリーで
初個展をされていたのです。
驚きました。
どれも、これも「あたりまえ」な器なのです。
作家の個展、、、だと思ったのですが、
あんまりにもまっとうな陶器ばかりで、面食らいました。


皿、鉢、碗、花器。。。
どれもが、なじみのある表情なのですが、でも古臭くない。
品種改良していない素朴な野菜だけれど、とびっきり鮮度がいい。
そう喩えたら、少し、感じが伝わるでしょうか。


:::


榎本さんが料理人として行列の出来る店を切り盛りしていたこと。
それをすっぱりとやめて、陶芸の世界に入ったこと。
食べることが何よりも好きなこと。
そして、それを盛る器を作るために、日々土に向かっていること。


主にご自宅の展示コーナーで窯出し展を行って、
口コミで広がったファンを中心に発表している榎本さん。
(これもなんだか地産地消の野菜みたい!)
関東ではどこにも出していらっしゃらないので、
本の読者の方にはほとんど知られていない作家さんだと思います。
それでも、まっさきに、榎本さんの器のことを書こう、
そう思いました。


展示しているときには、見過ごしてしまいそうな佇まいだけれど、
料理を盛ると輝き出す器。
使えば使うほど、表情が深まる器。
工芸を紹介する、という仕事を続けていると、
「ちょっと変わった新しいもの」に、つい目が行きがちです。
売る、という面からもそんな目新しさの動きの早さは確かにあります。


自分の本を書くのなら、そして、自分の店を持つのなら、
一見地味だけれど、気づけば毎日毎日使っている器。
そういう器をこそ、大切にしよう。
そう思っています。

:::

榎本さんの器。
たんと届きました。
いわゆる「民芸」の陶器がお好きな方でしたら、きっと気持ちに添う器かと思います。
そして、登り窯で焼いたものがほとんどですが、そうとは思えない価格なのです。
榎本さん、技術的に巧みなのですね。
ロスが少ない分、選んでいただき易い値となっているのでしょうか。
登り窯を付加価値にしないところも、榎本さんの誠実が感じられます。

・・・画像はのちほど。。
そして、榎本さんに連れられていった、蕎麦の名店
「ろあん松田」のお話は次回に・・・。

PageTop