ヒナタノオト工芸帖

日本橋小舟町の工芸ギャラリー・ショップ「ヒナタノオト」の作品ノオト

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ゴールディーのお人形

二日目。
大学時代の友人rucaさんが家族そろって今年も来てくれました。
ゼミではともに小説を書き、広告研究会というクラブでは
当時キラキラしていたコピーライターのマネゴトをしていた私たち。
「言葉」の世界に何かを求めて、その周辺をうろうろしながら、
自分と言葉がどうつながっていくのか、光をつかめずに過ごしていた
(少なくても私は)。

そのうち、それぞれが働き、結婚をし、家族を増やし、
何になろう、なりたい、というよりは、日々ささやかなことを鮮やかに生きることに夢中になって、
時が過ぎていった。
ここ十年ほどは季節のハガキを交わすだけで、会う事も叶わずにいたけれど、
それぞれの気配を嬉しく感じながら過ごしてきた。
そして庭にらふとが出来てから、眩しいお嬢さんを連れては、
ひょっこり出かけてくれるようになった。


工房からの風
その日、木漏れ日のもと、たくさんの人が行き交う中で彼女が手渡してくれた包み。
緑の包装紙に茶のリボンが静かに留められた贈り物は、すぐに開くことができなくて、
昨晩、やっとほどいてみたのだった。

gd

「ゴールディーのお人形」

鳥の子色の表紙に鉛色の濃淡の絵と森色の文字。
絵本の柔らかな文章に読み進めるうちに、
胸に言葉が留まって心が動けなくなる。
少し戻って、ゆっくりゆっくり読み進めると、
なんだろう、わたしがこの仕事を始めた原点、出会った原石のようなきらめきが
あらためて心に灯っていた。


読んでいない方のために絵本の内容は書けないけれど、
わたしがなるべく冷めていようと思っていたことを、もう冷めなくってもいいんじゃない。
過不足なく、素直に思うままに感じて伝えようよ、という気持ちでいっぱいになった。
この仕事 (工芸を紹介するという) を続ける中で、なるべく客観性を持とう。
マインドの部分で「いいよね」ということから、冷めていよう、と心がけてきたからだ。

「心をこめて」
というのは当たり前のことだから、それをもって他者に伝えない。
その結果の「もの」で伝えるのだと。
けれど、その当たり前の純度に、作り手も使い手も、心が震えるのだ。
そんな純度を高めあうことに仕事を向けていくときが来たのかもしれない。

そして、、、。
ものを作るということを「なりわい」にしていく中で、
経済や慣習、あるいは作家としてのプライド・・・などで霞がかかってしまう作り手がいるとしたら、
なぜ、この仕事を選んだんだろう。。という泉のような原点を、
確かめ合いたい、、とも。


友人の添えてくれた手紙

「・・・今年の誕生日にこの絵本を持ってきたのは、夏のおわりの私と娘の誕生日に、
すてきな絵本をいただいたので、そのお返しっていうわけではないのです。
去年、ことり文庫のこうめさんが、初めて行った「工房からの風」の感想を、まるで
「ゴールディーのお人形」だとブログに書いていたのです。
・・・ものづくりに対する深い愛情に満ちた絵本で、ぜひぜひ早苗にも知らせたい、
読んでもらいたいと思ったのです。

・・・ことり文庫さんでは、「ゴールディーのお人形」の翻訳と出版をされる末盛千枝子さんの
すえもりブックスの本を積極的に入れているのですが、この「ゴールディーのお人形」は、
今のところ重版の予定がないというので、すえもりブックスに残っていた3冊すべてを、
こうめさんが仕入れたのでした。
そして、残り一冊となったときに、それを倉庫にしまい、ほんとうにほんとうに
欲しいと思ってくれる人のために取ってあると教えてくれて。
今回、早苗の誕生日にずっと前からプレゼントしようと思っていたことを話したら、
こころよく最後の一冊を譲ってくれました」


何度も何度も読み返した。
この本がどんなに大切なものなのか。。。
戸惑うほどに沁みてくる。
その最後の一冊の最後の頁、
作者M.B.ゴフスタインのプロフィールには、こんな一節が書かれてあった。

「・・・私が本の中で表現したいと思っていることは、自分が信じるすばらしい何かを
作り出すために黙々と働く人の美しさと尊さです。
そして、本はだれか人が書いたものだということを知って以来、
私は本を書く人になりたいと思っていました。」

私も私のできる力で「作り出すために黙々と働く人の美しさと尊さ」に触れて、
それをこそ伝える一草になりたい。
最後に残った種のような一冊をわたしに届けてくれた友人rucaさん、
そしてことり文庫のこうめさん、
この本を愛する人たちに向かって、気持ちがやわらかにけれど確かにふくらんでいった。

:::
いつもなかなかお返事が書けないので、コメントとトラバをはずしているのですが、
この本が好きな人やこの本から何か感じた方からメッセージをもらえたら。
とてもうれしいです。

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コメント


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いちばんのりで、申し訳ありません^^;
ひなこさんのブログで知り、さきほど「ことり文庫」さんのhpを読んで、ここにきたら・・・です。
まだまだ、つくることの心が揺れっぱなしの私は、あらすじを読んだだけで気持ちがさきほどからザワザワしていて・・・また早苗さんの文章を読んで、今夜はなかなか寝付けないかもです。

lotus | URL | 2007-10-24(Wed)18:44 [編集]


この絵本のことを、何度もブログで書きたい・・・と思ったことがあるのですが、うまく言葉が見つけられず、私の言葉では間違ったことが伝わってゴールディーを傷つけてしまいそうで書けずにいました。
早苗さんの文章、それにことり文庫さんの紹介ページの文章に触れて、感じていたこと、それ以上 気づかずにいたことにも気づかせていただき、改めてハッと、胸が熱くなっています。

この本そのもののことからはズレるのですが。
私がヒナタノオトさんや工房からの風に出会えたのは、lotusさんとのご縁があったからです。
そのご縁から、いのちある作品や作り手の方々を知り、思いは広がりました。
同じように感じる方々とも輪が繋がり広がってゆくのを感じています。
一方で、昨年、こちらも偶然にお知り合いになったことりのこうめさんにお世話になったゴールディー。
こうめさんから紡ぎだされたゴールディーの輪も広がって。
そして、早苗さんが蒔いて育てていらした輪も、むくむくと大きく、そよそよと風をはらんで広がって。
別々のところで繋がった輪(あくまで私から見て です)が、今こうして繋がり大きな輪になってゆくことにとても感動しています。
平和って、腕まくりしてこぶしを上げて主張することではなくて、こういうところから生まれるものなのかな・・・と思いました。

風に吹かれて以来、まだ地上に降りてこられない状態で。
私的でトンチンカンな文章をお許しください。

ひなこ | URL | 2007-10-25(Thu)08:57 [編集]


こんにちは。
私はブログをはじめた事で、この本と出会う事が出来ました。
そして先日、中古の本をやっと手に入れたんです。
読み進めながら心のふるえが高まっていく感覚、忘れられません。いえ、忘れたくないと思っています。
ささやかな暮らしの中でも
自分の心の芯、真実をしっかりと見つめてカタチにしていけたら…この本に出会ってからずっと考えています。

まつかぜ | URL | 2007-10-25(Thu)10:04 [編集]


lotusさん、昨夜はよく眠れましたか?
なんと今日、ことり文庫さんで重版が発表になりました!
すごーい。
(個人的には、この日、っていうことが喜びひとしお)

揺れっ放し。。
ですか??
そんなことないですよ。。
ぜひぜひ、ちくちく進めて欲しいです。
lotusさんとこういうお付き合いができること、
とてもありがたく思っています。

hinata | URL | 2007-10-25(Thu)15:30 [編集]


ひなこさんにお会いできたこと。
嬉しいです。
ひなこさんのような方には、お会いしたことって、ないような。。
とても控えめで静かだけれど、芯の凛としたものがそこはかと伝わってきて。。
心地よい緊張感があります。。

「私の言葉では間違ったことが伝わってゴールディーを傷つけてしまいそうで書けずにいました。」

私も、実はそれに近いことを思っていました。
心に奏でられたことを、メモのように残したい、、という気持ちと、
いくら個人のblogだからといっても、誤解を与えてしまうことの怖さを、
私も最近深く感じたばかりだったのです。
けれども、今回は、そんな恐れを超えて、書き残したかったのでした。

今は気持ちのしっぽを書いただけですけれど、ここから始まったものをじっくり形にしていきたいです。。

hinata | URL | 2007-10-25(Thu)15:47 [編集]


まつかぜさん、ようこそです。

ささやかな暮らしの中でも
自分の心の芯、真実をしっかりと見つめてカタチにしていけたら。。

そうですね。
大げさなことじゃなくって、日々のことなんですよね。
まつかぜさんのコメントを思って、今からもう一回読んできます。

hinata | URL | 2007-10-25(Thu)15:49 [編集]


この絵本の静かで凛とした佇まいが大好きで、やっぱりこのよさを言葉にあわらすのは難しいと思っている絵本です。
去年、こうめさんの記事で工房からの風の様子を読ませてもらった時に、大勢のゴールデジがいたんですねって、お話したのです。hinataさんとrucaさんとことり文庫さんとこの絵本。
人のつながりと一緒に思いもつながって、この絵本はhinataさんに届けられることになっていた一冊だったんだと、思います。
偶然ではなくて、必然かなと。
それに・・・今ことりさんに行ってみたら!!
重版のお知らせですものね。
なんというタイミング! なんとすてきなお知らせ。
読みながら、うれしくてどきどきしました。
大勢の方の願いと思いが届いた気がして・・・
そしてこのタイミングだったことがまた必然のような気がして・・・
すてきなお誕生日、おめでとうございます。

フラニー | URL | 2007-10-25(Thu)17:53 [編集]


今回の工房からの風でひなこさんとご縁ができました。そのひなこさんのblogとhinataさんのblogでほぼ時を同じくして目にした「ゴールディーのお人形」。木の枝を削ってお人形を作るというところからも、わたしにとっては、もうすっかりどうしても手にとって読んでみたくてたまらなくなりました。今日の重版というお知らせの前に昨日とにかく早く見てみたくて洋書版で注文してしまいました。届くには3週間くらいかかるようですが。。。この時期に出会えた大切なご縁と、不思議な力も感じています。

Asa | URL | 2007-10-25(Thu)19:12 [編集]


rucaさんが去年から種蒔きしてくれたプレゼントが、私にとってこんな風にふくらんで。。
おまけに重版まで決まって、幸せなお誕生日を皆さんからいただいた気持ちです。
ありがとうございます!!

うれしい偶然は、すてきなことを漕ぎ出す力をくれますね、きっと。
私にできるささやかなこと。
でもたしかなこと。
漕ぎ出していきたいなぁ。

フラニーさんの喜びに満ちた穏やかな笑顔。
私の工房からの風の心のアルバムに留まっています。

hinata | URL | 2007-10-25(Thu)23:09 [編集]


Asaさん。
きっとAsaさんにとっても、深い本になるのですね。
この気持ちを持った作る人とこそ、ちいさな(あ、背は高いけど!)自分だけれど、ずっとつながっていきたいです。

ゴールディーを思って、Asaさんのお仕事に新鮮に向かい合いたいです。

hinata | URL | 2007-10-25(Thu)23:14 [編集]


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