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ヒナタノオト工芸帖

日本橋小舟町の工芸ギャラリー・ショップ「ヒナタノオト」の作品ノオト

よきもの

本間さんからロクシタン、そして狩野さんが蜜ロウを。

弟の三回忌にふたりがそれぞれキャンドルをくださった。
私のろうそく好きをよく知ってくれているからだろうか。
けれど、いつも顔を合わせているからこそ、
あわただしさに置き忘れてしまうことがある。
傍にいるひとの句読点のような日に、
さりげなく深い優しさで包んでくれるひとたち。

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二年前の今日。
発病から二年を少し超えて、弟は白血病で旅立った。
最後の最後まで入院を拒む弟を、母のマンションから病院まで
毎日車で往復していた夏。
いよいよ厳しい状況になって入院し、間もなくこの日を迎えた。

その日、病院から戻って数時間後、「至急来てください」と連絡が入った。
容体はどうなのですか?と問えば、
「お電話では言えませんので、至急いらしてください」とだけ。
覚悟はしていたが、とうとうその時が来た、、
という思いが冷や水のようにすうっと身にしみていく。
あわあわしているはずなのに、母の気持ちが高ぶらないよう、
いつになく静かに話し始める。
車を走り出せば、パラパラっと雨。
一瞬の水の輪に、そのことをあらためて覚悟したことが、
昨日のようで、また、遠い昔のことのようだ。

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出棺の日に思ったことを、「手しごとを結ぶ庭」の中で書いた。
よきもの
というタイトルで。
この本のおへそのような文章になったかもしれない。

さきほど、directo's voiceを久しぶりに読み返してみたら、
その原型の文章があった。
命日の今日、その時の自分の思いに再会させてくれたのも、
弟のおかげだろうか。

よきもの 
を思うとき、心の底ひには弟のことが静かに沈んでいるように思う。

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