ヒナタノオト工芸帖

日本橋小舟町の工芸ギャラリー・ショップ「ヒナタノオト」の作品ノオト

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鍵を開けよう

みっちーと共に小舟を整え、浜の無事を確認し、
再びひとり小舟に戻る。

いくつかのメールのやりとりをし、あらためて店内をゆっくりと見回す。
麻のカーテンの隙間から入り込んだ春の光は穏やかで、
あのような被害が同じ国で起こっていることが、遠いことのように思える。
そして、そう想ったことが、ちくりと針のように心を刺した。

平和で幸せな空間に居れば、いっそう、今いる世界がうそのように思え、
それがどこか虚しさをともなって、ひとり砂を噛むような思いで鍵をおろして、
この場を去った。

行きと違って帰りの東西線は人もまばらで、
腰をおろせば、寝不足の身は一息に眠りの中へ。

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幾人かから届いたメール、訪ねたブログなどで、
作り手たちの言葉が、靄のかかった心を覚ます。
こんなときに、こんなものを作っていて意味があるのだろうか。
そう自問しながらも、いや、だからこそ、自分にできる限りのものを作ろう、
そう思い至る心。

美しいもの。
自分の思い描く精一杯のよいもの。
目指しているもの。

それはぎりぎりの場面で必要なものではないかもしれないけれど、
ひとりの作りだす希望が、誰かの希望に火を継いでいくのかもしれない。
ぎりぎりの場面を心に描いても尚、作ろうとする心は、
あらためてもの作ることへの慎みを伴い、
その慎みが、いっそうものに光を宿すことだろう。

今日、麻のカーテン越しに感じた幸せな空間は、
けっしていつわりの空間ではないんだね。

もの作る人の心に響いて、
せめて心だけは澄ませて、明日、鍵を開けようと思う。

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