ヒナタノオト工芸帖

日本橋小舟町の工芸ギャラリー・ショップ「ヒナタノオト」の作品ノオト

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天球の鳥

150910c


昨年、花の眠りという記事を書きました。

あれから一年。
Oさんの一周忌が巡ってきました。

お嬢さんのKさんからご連絡をいただきました。
ご法要のお品をヒナタノオトで選びたいと。
たくさんのお店と懇意にされていらっしゃったことと思います。
にもかかわらず、お母様がとても好きなお店だったからと、
お声をかけてくださったこと、ありがたい気持ちでいっぱいになりました。


過去のブログをご覧になられて、ご希望いただいたのは、
萩原朋子さんの作品でした。
このような機会にお役に立てたなら、、と心から思ったのですが、
制作時間と点数を考えると、無理、なタイミングでした。
ほかのものもご検討くださったのですが、
もしや、、と思い、朋子さんにご連絡してみたのです。

慎重な朋子さんです。
いいかげんなことはおっしゃらないのは、お付き合いの中で重々承知していました。
私も無理強いできる種類のことではないので、ゆっくり丁寧にお話ししてみました。
陶芸のことですから、成形、乾燥、焼成の時間を短縮はできませんし、
万一もしも焼成で思うようにいかなかったら、代わりがききません。

一度お電話をきったあと、朋子さんからのベルがなりました。
「ぜひ、作らせていただきます」
と。

:::

どんな作品を、、というやり取りの中で、
小鳥が載った愛らしい花の器をお納めすることが決まりました。
お花が大好きだったOさんと、小鳥のイメージはとてもふさわしく感じました。

それにしても、今になっても奇跡のようです。
成形のタイミング、窯焼きのタイミング、すべてが不思議なくらい
このために空けられていたかのようでした。
ちょっとタイミングが合わなければ、とてもお受けできなかったと思うのです。

こうして猛暑のさなか、朋子さんがほんとうに心をこめて、
たくさんの作品を作ってくださいました。

::

ほんとうに心をこめて。
そうひしひしと伝わってきたのは、朋子さんがたくさんの作品を
担ぎ、抱えて一時間半以上をかけてヒナタノオトに持ってきてくださった時でした。
その日もじりじりと灼けるような炎天下。
きゃしゃな朋子さん自ら納めにきてくださったのです。

「どんなに丁寧に包んでも、もしものことがあるといけないし、
一日でも包装する時間に余裕があったらよいかと思って」

意外と私、力持ちなんですよ!
なんて愛らしいことを言って、私たちの驚きを薄めようとしてくれた朋子さん。

Oさんのなんとも温かなお人柄が懐かしくなって仕方ありませんでした。
なんだかこの魔法のような出来事、関わったみんなの心が
うれしく楽しくあったかくなるような想い。
きっと天国でOさんが応援してくれていたのでは。
そんなふうにさえ思えてくるのでした。

ご法要を終えられて、ご兄妹でヒナタノオトに寄ってくださったOさんのご子息がた。
Oさんのお孫さんのKちゃんも一緒に。
ちょうどkino workshop展の最終日で、片岡夫妻も一緒に和やかな時間を過ごしました。
ここにOさんはいないけれど、でも大切な何かがつながって、ここにある。
そんなたしかな安らぎの時間でした。


天球の鳥。

朋子さんがすでに名づけていたこの作品のタイトル。
なんて今回のことにぴったりなんでしょう。

たくさんの天球の鳥は、どれも同じものがふたつとなくて、
ひとつひとつが、作者の作る喜びを灯して生まれたんだと感じました。
Oさんを偲ぶ天球の鳥。
Oさんにゆかりの方々のもとに飛び立って、今はOさんを思う人の心を
静かに受け止めているのでしょうか。

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