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ヒナタノオト工芸帖

日本橋小舟町の工芸ギャラリー・ショップ「ヒナタノオト」の作品ノオト

デンマーク二日目晩

立秋を過ぎて、日が短くなりましたね。

されど、デンマーク旅記録は、まだ二日目の夕べ!です。

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ようやくこれからボンホルム島で3晩お世話になるカオリさんのお宅に到着しました。

カオリさんは私の3年後にボンホルムのホイスコーレで学んだ女性。
(年齢は15歳以上若いのですが)
学校を出た後もボンホルムに残って金工を学び続けました。

8年の滞在の中で、深い努力を重ねて、
デンマークのゴールドスミスの資格を昨年得たところです。
日本人でデンマークでゴールドスミスになったのは、初めてだとか。
私はなぁーんちゃって金工しか学ぶ力がありませんでしたが、
同じクラスから、こんな優秀な人が出るなんて、
この幅の広さが、デンマークの懐の深さでもあるような・・・

あ、ゴールドスミスというのは、金工宝飾作家とでも訳したらいいでしょうか。
シルバースミスと言えば、カトラリーや調度品を作る金工家。
(実際は、アクセサリーも作りますが)
ブラックスミスと言えば、鍛鉄家ですね。

カオリさん、ヨーロッパ各国のコンペでさっそく受賞を続々と重ねていますが、
今年は、デンマークの女王からメダルまで受けてしまいました。
(1879年から続けられている、工芸作家を顕彰するもので、
マーグレーテ女王が受賞者ひとりずつにメダルを授与するもの)
しかも、コペンハーゲンの工芸美術館に作品お買い上げです。

と、書くとちょっとイヤミ?な感じなくらい成功しているようですけれど、
モクモクモクと学びを続けていた時期が7年以上あって、
その間、暗い冬のデンマークでひたすら手と心を揺らし続けていたカオリさん。
会うたびに交わすものづくりについての会話も、
私にとっては、いつしか、ボンホルム行きの楽しみのひとつになっていました。

なかなか進まない「実生の仕事・工芸編」ですが、デンマークに来るまで、
工芸とまったく縁無く過ごしてきたカオリさんの巡り合った手の仕事、
ぜひご紹介したいと思っています。

カオリさんのHPはこちら → 

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七宝をメインに制作しています。
近作のブローチ群。

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庭側の風景。
白い花は、エルダーフラワー。


カオリさんのパートナーは、ペアさんと言ってやはりゴールドスミス。
デンマークのいわゆる人間国宝にあたる人です。

とっても気さくでジョーク連発?な方ですが、ふとしたときに感じる
ゆるぎない美意識に、背筋が伸びたりします。
ああ、まさに芸術家とはこういう人、と思うような方。

ペアさんが焼いてくれたライ麦パン。
姿がすでにアートです。
(そして、ほんとうにおいしかった!!)


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イサムノグチのランプとテーブル。


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テーブルセッティング。
毎回、なんともぴちっとしていて、美しかったです。。
気持ちいいぴちっと感。


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先ほど、人間国宝、と書きましたが、デンマークではこういう呼び名だそうです。

statens kunstfonds livsvarig ydelse for kunstnere paa finanslover

googleで訳すと

金融約束のアーティストの状態アート基金の有効期間の利益

!?というなんのこっちゃな訳ですが、
要は、リスペクトされるべき生活をするに値する芸術家の生活を保障する制度
みたいな感じでしょうか。

絵画、建築、音楽などと並んで工芸全般から
26名の作家がデンマーク国内から選出されています。
ペアさん、あらためてすごい人だったのですね。
というか、すごい人をちゃんと認めて、芸術活動を支えていく制度は、
すばらしいなぁと思いました。

(本音を言えば、別に肩書きですごい、とは思わないのですが、
作品にオーラが出ていたことに、驚きました。
ひとりの手が、こういう美しいものを生み出すなんて!)

デンマークでは、人間国宝の制度の他に、芸術家を支援するための
奨学金のような(学んでいるのではないので、奨学ではないですね)
制度もあって、毎年相当数のアーティストが応募して、
厳選された人たちが、お金を国から与えられます。
これを受けるのも相当に難しいらしく、
カオリさんは二年連続で認定されたとのこと。
ほんとうにすばらしいし、よかったなぁと思うのでした。


カオリさんとペアさんのお宅での一晩目。
おいしい食事と会話で、夜は更けて、、いくはずが、
なかなか更けない!のでした!(夏至は過ぎたばかり・・)

カオリさん宅の記事はまたのちほど。。

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毎年たくさんの人がデンマークにも学びにいきますね。
そんな中でカオリさんが傑出して成功していくのは、
どうしてだろう、と思ったとき、
もちろん、才能があってのことだけれど、
誰にも依存していない魂の姿勢みたいなものを感じます。

なーんて書くと、本人はさばさば楽しく大げさ嫌いな人だから、
いやがるかもですが。

ペアさんと出会って、師と仰ぐことと、パートナーになっていくことは
傍からみていると、とても自然なことですし、
そして、それでも尚、なんだかりりしいのです。

この魂のりりしさこそ、ものづくりというか、アーティストの核なのでは。。
そんなことを思ったボンホルムでの時間でした。

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