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ヒナタノオト工芸帖

日本橋小舟町の工芸ギャラリー・ショップ「ヒナタノオト」の作品ノオト

きつねのかみさま

自分の名前がもし違うものだったら。

そんなこと、思ったことはありませんか。

私の名前、最初父は「梨恵」‐りえ‐と付けたそうです。
けれど母方の親戚が、画数が苗字と合わないとか言い出して、
結局、母が締切日に困り、
たまたまテレビでみたドラマの女優さんの役名から取ったとか。

そんなわけで、秋に生まれたのに、早苗です(苦笑)
こんな娘が長じて俳句をしたりしたのですから、
季違い、です、まったく。

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そんな名前とは季違いの秋の日。
工房からの風の会場で、ここ数年、一つの包みを受け取るようになりました。
大学時代の友人☆からの、一足早い誕生日プレゼント。
毎年、彼女からは私の本棚に加わるものを。
私からは、夏の日に、彼女の家の食器棚に加わるものを
贈り合うようになりました。


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今年贈られた本。
きつねのかみさま


主人公の姉弟が、
りえちゃんとけんちゃん。

友人は、私が名乗ることになったかもしれない名前と、
弟の名前を覚えていてくれたのでした。

工房からの風が終わって、ようやくひと息ついたとき、
ゆっくりと頁をめくりました。

2つ半違いの弟は、金魚のふん、と言われる位いつも私にくっついて、
友人の家や公園に付いてきましたっけ。

数えきれないほどのそんな日のどこかで嗅いだ風の匂いや、
草草のすれる音。
けんちゃんとりえちゃんだったかもしれない私が
手をつないで過ごした時間。
そんなたくさんの光の粒が、
絵本の中のあちらこちらに散りばめられていたのでした。

ほんのささやかな、一瞬の優しさが、
誰かのかみさまにさえなれてしまう。

かみさま、なんて大人が言えば、なんだか大仰だけれど、
優しい存在、と言い替えたらよいだろうか。
誰でも誰かの優しい存在になれるんだね。
そんなささやかなことが、今宵はとても身にしみて。

2歳半の違いだったけんちゃんとは、毎年どんどん年が離れていってしまいます。
7歳半も違うようになった今年。
友人は、もう私が悲しみだけに埋もれないと信じて、
この本を贈ってくれたのでしょう。

そう、悲しみよりも、なつかしさを愛おしく感じるだろうと信じて。

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黒田維理新刊

samething cool

入っても気づけば完売となっている詩集。
クールな詩の世界は、洗練されたジャスのよう。

故人ですが、ご遺族が新刊をまとめられました。

ナポリフラッグ

something cool以外の詩、短編、紀行文、論説などがまとめられたもの。
章の間には、絵や版画もおさめられてあって、
ほんとうになんというセンス、多才な方だったのだろうと思う。

北園克衛氏のお弟子さんでもあった、この本の著者、
黒田維理さんについては、原田治さんのブログに触れられています。
原田治ノート → 

本を選んでくださる方は、男性が多いです。
本と同じで、クールな印象の方。
そう、クール、というか、スマート、といった方がいいのかな。

詩を読むと、淡々と、ものの本質を日常から読み取ろうとしているのを感じます。
それが、なんともセンスがよくって、昭和一ケタ生まれの人だということが信じられません。
すごいなぁ。

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さて、ワタクシがこの著者を知ったのは、
著者のお嬢さんと知己だからであります。
広沢葉子さん。
私とは同年代のガラス作家です。

葉子さんのガラスも詩的です。
ゆっくりお仕事ご一緒していきたい作家さんなのです。
いずれ、こちらでもご紹介させてくださいね。

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デンマークの扉

北欧の和み・デンマークの扉をあけて
が出版になって、一年が経ちました。

今でも時々感想をいただくことがあって、
それは何よりの喜びです。
写真のこと、文章のこと、いろいろ。
いただいた感想に背筋をすっと伸ばしてもらっています。
素直に、正直に、けれどありのまま、だけではなく
伝える力、創作の力をつけて、もっと高めていきたい、です。

かたちとなった本は、自分の力の足りなさはおくとしても、
昨年の自分のできる限りを尽くして書いたものなので、
心残り、といったものはないのですが、
実は一点だけ、自分の中で、これでよかったのだろうか、
そんな風に思うところがあるのです。
あとがき、です。

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先日、私がヒナタノオトに不在で、
針の森の狩野さんがお店をしてくれた日。
ひとりの若い女性が訪ねてくださったそうです。
デンマークの旅を終えてきましたと。

同じツアーに年配のご夫婦がいらして
親しく言葉を交わすようになったとのことでした。

そのご夫婦がデンマークに来たのは、
「北欧の和み」を読んだからとのこと。

骨髄移植を受けられたご主人と、
無事治ったら、デンマークに行こうねと
励まし合って来られたのだと、その女性が語ってくださったと。

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デンマークと弟の病は別のことで、
当初、そのことに触れる気持ちはまったくありませんでした。
けれど、何度も書き直し、かたちが整い、一冊の姿になった時、
なんで、デンマークなんだろう。
そう自分の心に問わずにはいられなかったのです。
デンマークっていいところだよ、
それで終わってもよかったのかもしれない。
爽やかで朗らかで和やかな国、ひとびと。
だから通ったということで、爽やかに閉じればよかったんだ。
そんな風にふと思い返すこともありました。

確かにデンマークに通うのは、心が楽しいから。
けれど、こんなに通う心の裏側には、
私の心にかつえたものがあったからですね、きっと。
求めていたもの、かつえていたもの。
それが、かけがえのない場所、であると気づいて、
私と同じようにそんな場所を、不器用に求めたまま逝った
弟のことに触れて筆を置いたのでした。

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今でもその文章が熟したものだったか、
正直自信はありません。
けれど、あの文章が、あるご夫婦の闘病にとって
ささやかでも支えになったのだとしたら、
ああ、書いてよかった、
心からそう思えました。

おふたりにとって、デンマークの扉、
和やかに開いたことを思いながら。

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ゆっくり読みたい

続いて3冊の本を頂戴しました。

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赤木明登さん「美しいこと

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石村由起子さん「私は夢中で夢をみた


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三谷龍二さん「遠くの町と手としごと


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どの本も、今の私にとって、気付きや共感や、
想いや考えを反芻させてくれる文章に満ちています。
まずは、読後の感想をきちんと著者にお便りをして、
こちらでも詳しくご案内したいと思います。

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準備バンタン?

今晩、車でアノニマスタジオさんに、あす使用するものや、
一晩寝かせるポトフなどなど、、、搬入いたしました。
キッチンで使うものを広げ、テーブルで使うものを広げ。
あれやこれやと解包しました。
広やかなアノニマさんの空間、なんだかわくわくしてしまって、テンション高めなワタシでした。

が、あれれ??
な~い!!
はい、いきなり、忘れものです。
キャンドルスタンド一式の梱包箱、ヒナタに置きっぱなしでした。トホホ・・。
前日搬入で、ほんとうによかったです。

もりのにわさんからも、パン送りましたよ~と、飛騨からメール。
ありがとう!
デンマーク、ボンホルム島のライ麦の粉で焼いてもらったパン、どんなになったかな。
(2月のパンセットの募集始りました!)

そうそう、皆さん、本を持ってきてくださるかなぁ。
特にお願いはしませんでしたけれど。。
「本」のお話、編集者の方を交えてしたいと思っているのです。

アノニマスタジオでのイベントですもの。
本を手元で開くしあわせ。
広がっていくような時間になるといいなあと。

ひとりで訪ねたデンマークで感じた時間。
ヒュッゲ、そしてパウゼ。
ささやかな、けれどたしかな幸福な時間。
明日はたくさんの方と一緒に味わえますように。

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今日のウサ村さん。

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パウゼな午後とヒュッゲの夕べ

アノニマ・スタジオさんでのイベント。
もっと先のことと思っているうちに、早、今週末です。。。

17名の方で「ヒュッゲの夕べ」を企画しましたら、46名もの方にご応募いただいたとのこと。
2名加わっていただき、19名での会としましたが、
それにしても申し訳なく、急きょ昼下がりにもう一回行わせていただくこととなったのでした。
(それでも、ごめんなさい、、の方がいらっしゃいますね。。。すみません、ほんとうに。。。
そして、ご応募、ありがとうございました!!)

お昼過ぎに「ヒュッゲの夕べ」というのも変だなぁと思っていましたら、
アノニマでイベントを担当くださるMさんが、素敵なタイトルをつけてくださいました。

「パウゼな午後」
うれしいですね~。本、読み込んでくださって。。。
と言うわけで、19名様+19名様・・・わわわ、
38名様分のご用意をあれやこれやと準備しています。

(多くが存じ上げない方ばかりでした。。
いつもはあがったりしない私ですが、あがったりして。。)

軽食付きですので器も使いますが、すべてを持ち込むのは無謀でしたので、
一部アノニマさんの白い器もお借りします。
けれど、グラスや、デザート皿、カトラリー、パンバスケットなどは持参して。
そしてキャンドルスタンド、燭台だけでも20個くらいパッキングしました。
(そんなに持っていたことをあらためて発見。キャンドル好きです。ほんとうに。。)

テーブルセッティングを構想しているうちに、絶対必要なものがありました。
なんでしょう。。。??
デンマークのダイニングやガーデンテーブルに必ずあったもの。
それも一緒に荷造りしました。

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